今回は、BFPTouch(自作のタッチセンサー)をEnder-3でオートベッドレベリングに利用する為のファームウェアについてです。
電磁誘導式センサーを使ったオートベッドレベリングとは編集内容が少し異なります。
サーボモーターのホーンについて
尚、ファームウェアを書き換える前に、自作タッチセンサーのサーボホーンは外しておきます。
ファームを書き換える前の段階では、サーボの回転位置が定まっていないので、付けたままにしておくとファームを書き換えた瞬間サーボがあらぬ方向へ回転してしまいます。
最悪の場合サーボに無理な力が加わり壊れてしまいます。
ファームを書き換えた後、Ender-3が立ち上がるとサーボはセンサー収納状態の位置に回転しますので、その時センサーが収納されるようにホーンを取り付けると良いと思います。
書き換え手順
ファームウェアの書き換え手順については、以前書いた通りなので、そちらを参照して欲しい。
今回このページで紹介するのは設定ファイル(Configuration.h等)の変更箇所だけです。
設定ファイルの変更箇所
今回は、
- Configuration.h
- Configuration_adv.h
- pins_SANGUINOLOLU_11.h
の3つのファイルを編集して書き換えます。
Marlin1.1.9に付属しているender-3用のconfigurationsファイルをベースにしています。
その辺りも先のファームウェア書き換え手順のページを見て頂ければと思います。
Configuration.hの変更箇所
78行 // #define SHOW_BOOTSCREEN
先頭に//を入れてコメントアウトします。
これはブートスクリーンの表示を行わないと言う設定です。
ブートスクリーンを表示しなくなるぶん起動が速くなるのと、プログラムの容量が小さくなります。
私の場合、電源を入れた後は早く操作できる状態になって欲しいので、ブートスクリーンは非表示にしています。
721行 #define Z_PROBE_SERVO_NR 0 // Defaults to SERVO 0 connector.
722行 #define Z_SERVO_ANGLES {70,0} // Z Servo Deploy and Stow angles
721行、722行の先頭の//を外してアンコメントします。
721行は、サーボ利用のセンサーを使う宣言(サーボのインデックスナンバーは0)
722行は、サーボのアングル位置の設定で、{Down時のデューティ比, Up時のデューティ比}で指定します。デューティ比の指定は0~255の数値。
私の場合、デューティ比の設定はデフォルト設定{70,0}をそのまま使いました。
776行 #define X_PROBE_OFFSET_FROM_EXTRUDER -41 // X offset: -left +right [of the nozzle]
777行 #define Y_PROBE_OFFSET_FROM_EXTRUDER -15 // Y offset: -front +behind [the nozzle]
776行、777行の数値を変更して、ノズルとセンサーの位置関係を設定します。
使うマウントによってセンサーの位置が変わると思います。
分からない方はノズルの先端とセンサーの先端の距離を測って指定しましょう。
私のEnder-3の場合、ノズルから左に41mm前に15mm離れた所にセンサーの先端があります。
私が使ったマウントは、Thingiverseに公開しています。
https://www.thingiverse.com/thing:3808691
823行 #define Z_MIN_PROBE_REPEATABILITY_TEST
先頭の//を外してアンコメントします。
これはセンサーの精度をテストするコマンドが有効になります。
精度テストが必要無い人はここの編集は必要無いです。
904行 // #define MIN_SOFTWARE_ENDSTOP_Z
先頭に//を入れてコメントアウトします。
これはZ軸がマイナス方向に移動できるようになります。
975行 #define AUTO_BED_LEVELING_BILINEAR
先頭の//を外してアンコメントします。
これはオートベッドレベリングの種類をBILINEARに指定しています。
1026行 #define FRONT_PROBE_BED_POSITION MIN_PROBE_EDGE+15
先頭の//を外してアンコメントして、+15を書き込んでいます。
これはオートベッドレベリングの際のフロント側の位置を少し(15mm)内側に移動させています。
これはビルドシートを留めているクリップにセンサーが当たるのを防ぐ為に設定しています。
1142行 #define Z_SAFE_HOMING
先頭の//を外してアンコメントします。
これはホーミングを安全に実行する為の設定です。
オートホーミングがベッド中央で行なわれるようになります。
1452行 #define SLIM_LCD_MENUS
先頭の//を外してアンコメントします。
これはLCDコントローラーで表示されるメニューの項目のいくつかを省略します。
メニューの項目が減るぶんプログラムの容量が小さくなります。
Ender-3はメモリが小さいので、プログラムの容量を減らさないと書き込めません。
1914行 #define NUM_SERVOS 1 // Servo index starts with 0 for M280 command
1915行 #define SERVO0_PIN 27
1922行 #define DEACTIVATE_SERVOS_AFTER_MOVE
1914行は先頭の//を外してアンコメントし、NUM_SERVOSを1に変更
1915行は#define SERVO0_PIN 27を書き込みます。
そして、1922行は先頭の//を外してアンコメントします。
ここではサーボの設定をしています。
Configuration.hの編集は以上です。
Configuration_adv.hの変更箇所
ここからはConfiguration_adv.hの編集です。
752行 #define BABYSTEP_ZPROBE_OFFSET // Enable to combine M851 and Babystepping
先頭の//を外してアンコメントします。
ベビーステップは印刷中にノズルの高さの微調整が出来る機能で、その設定とプローブのオフセットを一緒の物として扱う設定。
798行 // #define ARC_SUPPORT // Disable this feature to save ~3226 bytes
先頭に//を入れてコメントアウトします。
これで円弧のサポートを外します。
多くのスライサーでは円弧が使われていないので問題無いと思われます。
円弧のサポートを外すことでプログラムの容量を減らします。
Configuration_adv.hの編集は以上です。
pins_SANGUINOLOLU_11.hの変更箇所
ここからはpins_SANGUINOLOLU_11.hの編集です。
169行 // #define BEEPER_PIN 27
先頭に//を入れてコメントアウトします。
もともとビープ音を鳴らす圧電スピーカーに繋がっているピンですが、今回センサーのサーボをこのピンで使っているので、ここでコメントアウトして無効化しておきます。
pins_SANGUINOLOLU_11.hの編集は以上です。
と言う訳で、3つのファイルの編集が全て終わりで、あとはEnder-3に書き込めばファームウェアの書き換えは完了です。
あと、センサーの取り付けや高さ調整とか必要ですが、その辺りはまたこんど書きたいと思います。